岩手大学大学院教育学研究科での実践報告【令和5年度実践報告】

令和5年度にcaDIY3D-Xを導入頂いた、岩手大学院教育学研究科の鈴木先生から導入後のコメントを頂きました。

授業でのcaDIY3D-Xの導入場面について

中学校技術分野内容A「材料と加工の技術」において、設計場面に取り入れました。はじめに練習モデルを用いてcaDIY3D-Xの操作方法の習得を行いました。その後、問題発見・課題設定の時間を設定し、caDIY3D-Xを用いた設計を2時間で行いました。その後、作成したCADで作成した設計モデルを用いてクラスメイトからアドバイスをし合い検討・改善をする再検討を1時間行いました。中学1年生で実施しました。

時間学習内容
「デジタルファブリケーション」の紹介と3DCADの可能性を知る。モデル題材を用い,3DCADによる設計を行い,基本操作を身に付ける。
「収納・整理に関する問題」について,「製作品開発シート」を用いて,問題発見・課題設定を行い,課題解決に向けた製作品を構想する。
3DCADを用いて,構想した製作品の製作モデルを設計する。
設計した3DCADの製作モデルを生徒相互に評価し合い,検証,修正,改善等の再検討を行う。
表1設計場面の指導計画

図1 練習モデル

CADを取り入れたことによる、授業や生徒の変化

・直感的に操作できることや、木取り図を自動で制作してくれることで、設計時間が短縮でき、設計場面で試行錯誤する再検討の時間を確保できたこと。あわせて、製作時間を確保できたこと。

・等角図など製図法で作図できないものは製作できなかったものが、生徒の頭の中でイメージしたものをモデルに具体化する支援をしてくれるので、生徒たちのアイディアが広がり一人ひとり違った製作品になったこと。(100人いれば100通りの設計になった。)

・課題解決のための構造や強度など、最適解となるように内容知に関して思考するようになったこと。

・生徒たちが自ら内容知に関して吟味するようになったことで、教員の役割として、製作時に用いる工具や手法、製作時間などの方法知についてアドバイスするようになったこと。

図2 生徒の製作モデル例(再検討前)

図3 生徒のモデル例(再検討後)

今後、どのように発展させていきますか

現代社会において「デジタルファブリケーション」が進み、誰もが自分の使用場面にあった製品を求めるオーダーメイド化が進むと考えています。今後、caDIY3D-Xで設計したものを3Dプリンターを用いて部品を制作したり、検証モデルを製作したりする授業展開も考えていきたいと思っています。

 また、本県ではcaDIY3D-Xを導入している学校が数校あります。お互いに実践しながら指導法について交流し、「指導の個別化」に向けて指導力を高めていきたいと考えています。

最後に先生がお感じになられた内容について

 caDIY3D-Xを導入したことで、「設計の面白さ」「ものづくり」の楽しさが広がったと思います。また、自分のデザインしたものが具体的な形になることで、ものへの愛着が増し、ものを大切にする姿勢が醸成するのではないかと感じています。